ぼーるぺん漫画 [本・書籍]
ボールペンで漫画が描けるかと問われればどう答えますか?
そりゃまあ、筆記用具の一種として描く事は自体は出来るでしょう。
ただ、落書きや個人のみで楽しむ漫画であり、商業用の漫画としては無理でしょう。
何より印刷として適していません。線がきれいに出ませんからね。
と、自分ならそう答えます。
しかし、その常識を覆す全編ボールペンのみで描かれた漫画本があるのです。
タイトルは「ぼおるぺん古事記」といいます。
古事記とタイトルにあるように、あの日本の神話を書いたとされる「古事記」を漫画化された本です。
描かれた人は、こうの史代さんという漫画家で、「夕凪の街 桜の国」という映画化にもされた漫画を描かれた方です。
どうしてこの本をと言いますと、出雲大社に行ってから古事記を読んでみたいなと思うようになりまして、でも難しいのは嫌だなと思い、漫画ならとこの本を選んだのでした。
中身は漫画であってもかなり難しいです。
よく判らない神様の名前がゴロゴロと出て来るし、古代の言葉も独特過ぎて意味不明です。
下方に注意書きがあって、それと合わせてやっと読んでる状況です。
漫画でこれだけ難しいと感じるのですから、文書だと付いていけないかもしれませんね。
それでも、こうのさんの独特で可愛らしい絵柄の為かキャラクター達が愛らしくて親しみを感じます。
この絵柄のおかけで何とか読み進める事が出来ました。
何より凄いと感じたのは、全編ボールペンだけでこの漫画を描き上げたという技術力です。
ボールペンだけと言うことは、ベタやトーンは一切使ってないという事です。
それでいながら、画面の濃淡や光と陰影の付け方など、かなり工夫されて絵を白くならないように見せています。
背景や景色にも手を抜かずしっかりと描かれていて、カケアミや点描の応用されている箇所もかなり見掛けます。
ボールペンだけでここまで描けるのかと圧巻されます。
これって、下書きはどうなってるのでしょうね、と疑問に思いました。
ボールペンって消しゴムを掛けても消えないけれど、インクが少しかすんでしまうのですよね。
それが、商業用漫画に適さない理由でもあります。
インクの線はかすれてるように見えないので、下書きなしなのでしょうか。さすがにそれは無理かな。
あるいは、色鉛筆で下書きしたのかも。水色か黄色の色鉛筆なら描いても印刷には出ないので、それで下書きしすれば消しゴムを掛けなくても済みますからね。
でも、どうなのでしょう。マジで気になります。
まあともかくとして、この本は絵の技術も見ものですが、内容も面白いです。
こうのさんの描かれる絵がやっぱり良いです。綺麗というよりゆる系かな。
勉強にもなりますし、古事記に興味のある方には是非おススメですよ。
良ければ、本屋で見て頂きたいです。
それでは、これにて。